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防炎シートの1類・2類の違いとは?

建築現場で使用される養生シートの中には、耐火性能を持つ「防炎シート」があります。一定の要件を満たす建築物では、通常の養生シートではなく、防炎シートの使用が求められることがあります。防炎シートには第1種と第2種があり、その違いを理解し、用途に応じて使い分けることが重要です

消防法における「防炎規制」

「防炎規制」は消防法で昭和44年から定められている規制です。

防炎性能基準の条件をクリアした燃えにくい物を「防炎物品」と呼びます。

この防炎物品は、高層建築物や地下街のカーテンや工事現場での工事用シートにおいて、使用が義務づけられています。

規定は1969年に消防法で制定され、劇場、ホテル、デパート、高層ビル、地下街など不特定多数の人が出入りする施設では、カーペット、カーテン、舞台幕などに「耐火製品」(消防法で使用が義務づけられた製品)の使用が義務付けられました。

建築用シートに耐火性商品を使用することで、建設中に火災が発生した場合の延焼を抑制することができます。

火災から人命を守る防炎シートの仕組み

防炎シートはどうして燃えにくくなっているのでしょうか?
繊維素材そのものに防炎性能をもたせる製造方法と、繊維製品にしてから防炎薬剤で防炎処理加工をする製造方法の2種類の仕組みをご紹介していきます。

・繊維素材そのものに防炎性能をもたせる製造方法

化学繊維を製造する過程で、原料の高分子を防炎化し繊維状にする方法と、高分子の中に防炎薬剤を練り込み繊維状にする方法があります。
これらはアクリル系、難燃アクリル、難燃ポリエステル等の化学繊維となります。

・繊維製品にしてから防炎薬剤で防炎処理加工をする製造方法

水溶液状の防炎薬剤を繊維に浸漬付着させ、乾燥もしくは熱処理する方法と、防炎薬剤を付着させたうえで、繊維と防炎薬剤を科学的に反応させる方法、繊維の表面に防炎薬剤を分散させた合成樹脂をコーティングもしくはバッキングする方法があります。
主に綿、レーヨン、ポリエステル等などを織ったあとに防炎化する場合はこの方法が用いられます。

防炎シート1類2類の違いは?

1類と2類の主な違いは防炎性能ではなく、引張強度です。
一言で言うと「落下物に対しての強度の違い」なんですね。

防炎シート1種は、シートのみで落下物や飛散物を受け止める強度があります。
これに比べて2種は、シートのみでは落下物や飛散物を受け止めるだけの強度がありません。
金網と併用することを前提につくられています。

現場に合う防炎シートを使うことで、落下物による現場作業員の事故を防ぐだけではなく、たまたま通りかかった通行人を巻き込んでの事故を防ぎます。

2類の基準として、日本工業規格の「JIS S 8952 建築工事用シート」の中で

・引張強度:490N以上(3枚平均/タテ・ヨコの弱い方向)
・引張強度:対応する方向の引張強度の5%以上
・メッシュ目合い:12mm以下
・ハトメピッチ:450mm以下
・ハトメ強度:1.47×L(ハトメピッチ/mm)以上

の5点の項目があります。

ハトメピッチが30cmの場合、ハトメ強度が441N以上であれば2類相当品。

ハトメピッチが45cmの場合はハトメ強度662N以上で2類相当品と言えます。

まとめ

現実として、建設現場で働く多くの作業員は、防炎シートの仕組みや、第1種と第2種の違いを知りません。

建設現場での労働災害や巻き込み事故は、人命を危険にさらすだけでなく、企業に対する社会的信用の失墜や損害賠償など、大きなリスクをはらんでいます。そうしたリスクを防ぐためには、耐火シートの違いを理解し、最適な製品を選択することが不可欠です。

 


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